リカレント教育と社会人大学院

時事

先日、日経新聞で「氷河期100万人の就職支援、政府、研修業者に成功報酬」という記事が掲載されました。

 

まさに、対象としている世代に私も入っているので、支援される対象者と成功報酬がもらえる研修業者という両方の視点から、今回のお金の使い方にはもう少し政府も考えて欲しいと思ってしまいました。

 

講師の立場から、現在講師として登壇されている人達が本当に実力がある人なのか、これを調査する術はありません。研修業者にお金を払うのであれば、本物の講師を育てるためにお金を出すべきだと今回の記事を拝見した率直な感想です。

 

私は、研修講師として、「リカレント教育」の重要性を受講生の皆さんにお伝えしてきました。研修では、リカレント教育とは、一生涯にわたり教育と就労を交互に繰り返していくことと、定義しています。

 

リンダグラットンのLIFE SHIFT(ライフ・シフト)が2016年に日本で出版され、2019年の今年からは、働き方改革がスタートしました。60歳で定年、残りの人生は年金だけで優雅に暮らすという生き方は完全に夢物語となりました。

 

詰まるところ、老後年金だけでは2000万円足りなくなる28年後には年金水準が2割弱目減りするから、学んで長く働ける力を付けて欲しいという政府からのメッセージではないでしょうか。

 

ここで注意しなければいけないのは、多くの人が安易に資格を選んでしまうことです。今まで経験してきたことに直結し、資格を取得することで付加価値が上がるのであればチャレンジするのもありだと思いますが、そうでなければ少し立ち止まって考えて欲しいと思います。

 

資格の勉強は、出題形式や問題が決まっており、それを覚え解答します。しかも、同じ学びをたくさんの人がしているため、その勉強だけでは差別化することができません。差別化できないということは、そのサービスにお金を払ってもらえないということです(できる人が多く、同じサービスであれば価格競争が起きて値段は下がっていきます)。

 

すでに多くのケースを経験してきた先輩士業がいる市場に参入するわけですから、「合格したら食える」わけではないことをしっかり理解しておくことが大切です。

 

研修講師ネタ帳でも何度か紹介してきた社会人大学院ですが、私がお勧めする理由は、差別化する手法を学べるからです。今でこそ多くの大学院が社会人向けに開講していますが、今から15年前、私が入学した当時はまだまだ数が少なかった時代でした。

 

「働きながら、大学院を修了されたのはすごい」

 

このコメントは、転職する際や、商談の場で何度も言われました。当時はこれだけで差別化されました(私を選んでくれました)。

 

資格の勉強は、すでにあるものを理解し、覚えること。大学院では、研究テーマの仮説を立てて、論証し、修士論文にまとめるという勉強です。何が違うのか?

 

自分の頭で考える力が身に付くということが一番だと思います。

 

「勉強する」というのは、こういうことだったのかと遅ればせながら、大学院に進学した32歳で初めて理解することができました。

 

「学ぶ」というのは、「真似ぶ」が語源だと言われます。特に日本の教育システムは、「学ぶ」のシステムで、真似をすることがベースにあるため、受け身なのです。基本は先生の話しを聞くというスタイルです。

 

大学院では、基本学生が話をし、教授がコメントするというスタイルになります。特に社会人大学院では、教授も現場の生の声が聴けるということでとても積極的に関わってくれました。

 

修士論文を執筆する過程で仮説思考を嫌という程、経験します。ただ、この思考を身につけると一生モノのスキルになります。現場では様々想定外のことも起こります。その際にどのように解決していけばよいのか、新規ビジネスを立ち上げる際も、あらゆるケースを想定して事業計画を構築していきます。

 

もちろん、大学院に行かなくても現場で学べることはたくさんあります。ただし、「学べる」ことなので、結局のところ、上司や先輩、その会社で培われてきた伝統など、真似るがベースになっていることは否めません。

 

一度、体系立てて自身のスキルとして身につけることは、大きな財産を得ることになります。今思えば、この経験があったからこそ、いろんなことにチャレンジをする機会をいただき、地位も築けています。ありがたいことに、47歳になった今も現在進行形で活躍することができています。

 

もし、少しでも将来に不安を抱えているのであれば、リカレント教育の一環として、社会人大学院にチャレンジしてみることをお勧めします。

 

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